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7.112020
産前産後のウツ 〜1人で頑張るお母さんへ〜
一人で頑張るお母さんと「ウツ」の関係
「赤ちゃんのことは、あれもこれも全部
『完璧』
にやりたいから、人は頼れません。信用できません。」
と言うお母さん達がいます。
一人で頑張り、疲れ果て、ウツ状態になっても、人に頼ることなんてできません。
それどころか、ちょっとでも赤ちゃんが泣くと、周囲から「ダメなお母さん」と責められているのではないかとビクビクし、頼るどころではない場合もあります。
こう言う人は「人を信用する」と言うことが、今までの人生で難しかった、できなかった経験からくることが多いです。
「人を信用する」と言っても、この様なお母さんが人を信用するには、(端から見たら)超難関のテストをくぐり抜けた人しか信用しません。
何度も人をテストし、この人もダメだった、この相談機関もダメだった、この男性もダメだった。。。いつの日か彼女は絶望し、「自分しか信用できない」となってしまうのです。
「自分の赤ちゃんだけは、汚れない様、完璧に、自分だけで育てていきたい」「赤ちゃんにとって、理想のお母さんになってあげたい」
純粋で白いものも、ちょっとでも汚れたら黒くなってしまう。。。そう思って一生懸命、完璧に完璧に子育てをします。
しかし、過酷な一人での子育てには、いつか限界がきます。
こう言う場合、私の知る限りでは、お母さんは、ウツ状態になってしまうことが多いです。
エネルギーが枯渇し、眠れなくなり、動けなくなるため、誰かに頼るしかなくなります。
絶望し、カウンセリング にやってきます。
。。。完璧なお母さんになれなかった。。。
ここで、カウンセラーはこのお母さんが、ウツ病態になったことを「ポジティブに捉える部分もある」と考えます。
ウツ ≒ ポジティブな変化
とはどう言うことでしょう。
お医者さんにいけば、「ウツは薬でなくすもの」と考えます(もちろん、ひどいウツの場合は、お薬が必要ですが)
深層心理学の世界では、ウツは、「変化変容=イニシエーション」の始まりです。
ウツこそ、今までの人生を変えるきっかけになる状態なのです。
カウンセリングが始まると、ウツの中に入っていき、癒しが始まります。ウツの中に、癒しの種が眠っているのです。彼女はふわふわのサナギの様なカプセルに、カウンセラーと一緒に入ります。
ウツになったお母さんは、もう一回赤ちゃんの頃に戻ったかの様に、ゆっくり体を休めたり、周囲にわがままを言える様になったりします。
これには、周囲の家族の協力と理解も必要です。家族が役割を果たせない場合、地域が代わりになったりします。この時、家族の協力は、サナギの殻の様な役割をします。もちろん、カウンセラーもサナギの中に入りながら、その殻の様な役割を担います。
その中で、お母さんにゆっくりと休んでもらうのです。
「わがままを言うお母さん」と一口に言っても、今まで「良い子のお母さん」で頑張ってきた分の我慢が一気に吹き出す場合もあるので、周囲はかなり手を焼く状態になったり、そうでなくても、長い時間、お母さんに休憩が必要になったりします。
家族・周囲はどうしたもんか。。。と頭を抱えます。カウンセラーは、こういう場合、家族・周囲も支えます。
しかし、お母さんが「変化変容」を始めると、その周囲も「変化変容」が起こります。
カウンセリングが進むと、お母さんもその周囲も
「愛情とは、どうやって、かけてやればいいものなのか」
の深い理解に至ります。
これは、お母さんのウツにも良いことですが、
「赤ちゃんが安心して、みんなから愛される環境を整えていくこと」
に繋がっていきます。
赤ちゃんの身になって考えてみると「一人で頑張るお母さんから、完璧な愛情を必死に注がれる環境」から、
お母さんがウツになることで「みんなから愛される環境」で育てられるという、望ましいものに変わっていくということです。
お母さんのウツの治療は、時間がかかるものかもしれません。
しかし、いつか、サナギから蝶々が羽化する様に、元気になって行かれます。
その時は、たくさんの宝を得て、(ウツの中には、宝も眠っています)赤ちゃんや家族にとってさらに良いお母さんになっていかれます。
妊産婦心理カウンセリング室は、お母さんとその家族のウツによる「変化変容=イニシエーション」を応援します。